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でも拍手でオフ本関連の質問いただいたので取り急ぎ回答と、リンク切れのサンプルを上げに来ました。
実は今窓機が壊れててですね、林檎ではアップローダーが動かないのでちゃんとサイトにアップできない状態なのです。
しかもサンプルのデータ林檎に移してなくて…なので、乗せていたサンプルとは少し違うかもしれませんが折りたたみの先に「君に会えてよかった」の一部をコピペしておきます。
もうひとつ、質問への回答です。
「それは真冬の陽だまりに似て」
コピー本の再通販は今すぐにはできませんが、ご希望が有れば検討いたします。
在庫はまだありますので、通販の再開を希望される方いらっしゃいましたら拍手やメールフォームからお知らせください。
検討します。
では折りたたみにサンプル投下しておきますね。
佐伯×御堂 本多×御堂 (書き下ろし)
「もう君とはやっていけない!」
同時刻、違う場所で…同じ人物がそう怒鳴った。
****
「何でアイツはいつもそうなんだ!」
御堂は乱暴にネクタイを引き抜きながら独語した。
一通りの身仕舞いを終え、ふと見回した部屋はどこか生活感に欠けて寒々しい。
佐伯のマンションに一室宛がわれたここへ着替え以上の目的で入ったのはいつ振りか…。
その感覚が、佐伯と同居し始めてから毎日のように彼のベッドで共に寝ていた事実を如実に物語っていて…今はそれが腹立たしい。
アクワイア・アソシエーションは今年創業二年目。
他からの引き抜きで優秀な社員を揃え、コンサル業界で大手からも油断ならない会社と評価されるまでに成長してきている。
成長期真っ盛りの会社は今が踏ん張り所。
ここでどう舵を切るかが、上昇気流に乗って舞上るか、不意の突風で地に叩き付けられるかの分れ目を生む。
だから事業が軌道に乗ってきた今こそ手掛ける仕事は慎重に見極めるべきだと御堂は思う。
それに反して佐伯は御堂に相談なしに時折、リスクの高すぎる仕事を取ってくる。
…今日の諍いの原因も、そこにあった。
佐伯はハイリスク・ハイリターンを好む。
ただそれはそれで結構な事だと御堂は思っている。
佐伯と自分にかかれば困難を片端からクリアできる自信も有る。
だが、自分に何の相談も無くそういった話を進めてしまうのは首肯しかねる。
「私に一言の相談も無くこういう話をつけてくるなと何度言えば分かる!」
先程、リビングで御堂は怒鳴った。
手には件の企画書。
御堂には何も知らされぬまま纏まったその契約は、しかも腹立たしい事に部下からその存在を知らされた。
佐伯曰く〝言うタイミングが偶々早かっただけ〟だが、それでもその案件は普通なら発足段階から御堂に知らされていて然るべき規模で、どちらにせよ報告が遅すぎたのは事実だ。
「俺にはアンタに一々お伺いを立てる義務はない。この会社の社長は俺なんだからな。」
怒りに拳を震わせる御堂に対し、別の書類を読む片手間に佐伯は言い放った。
この状況は初めてではない。
佐伯はすぐこうして何でも一人でやってしまおうとする。
その度御堂はこう言って来た。
「なら何の為に私がいるんだ、何もかも君が一人で決めるのなら私は必要ないだろう。君の暴走の尻拭いなら、他の人間でも出来る。」
多少言葉が辛辣になった自覚はあった。
つい先日にも同じ様な事があり、気が立っていたのだ。
「尻拭いねぇ・・・毎晩尻を拭われてるのは御堂さんの方じゃないですか。」
ニヤニヤと不真面目に佐伯がそう返す。
「茶化すな佐伯。私は真面目な話をしてるんだ。ここ最近の君の独裁振りは目に余る。」
新進気鋭のコンサルで社長の指導力が高いのは悪い事ではない。
むしろ駆け出しの時は社長が多少独裁的にでも会社を動かして行く方が上手くいく。
だが、必要最低限の助言も求めずに突っ走るのは危険すぎる。
「確かに君は有能だが、リスクの高すぎる案件は事前に良く話し合って失敗時の被害を最小限に抑える手立ては設けて置くべきだ。その為の助言は惜しまないから・・・」
「年をとると御堂さん程の人でも足元を気にする余り前に進めなくなるんですね、残念ですよ。」
御堂の言葉を遮った佐伯が小ばかにしたような態度でそう言う。
これには流石の御堂も声を荒げた。
「佐伯!真面目に聞け!」
「その必要を感じないな。とにかく放っておいてくれ。この件は俺が全て動かす。アンタは他の仕事をやってればいい。」
御堂に対する尊重など欠片も無い調子でそう言った佐伯に彼が返したのが冒頭の一言だった。
御堂はどさりとベッドに仰向けになった。
どうして自分のパートナーはいつまで経ってもああなのだろうか。
付き合い始めて間もない頃にお互いの感情が擦れ違って、過去の過ちを繰り返しそうになった。
その時確認した筈だ・・・自分は彼を気遣いたいのだ、隣に並びたいのだと。
なのに、まだ、佐伯は何でも一人で決めて一人で動かす。
「私は君の何なんだろうな・・・時々、分からなくなる。」
ポツリと漏らした自分の言葉に、遣る瀬無さが込み上げた。
最近仕事で自分が求められている気がしない。
遣り甲斐の有る仕事はしている。
だが、それは有能な他人にも出来る事だ。
彼を支え、助け、導く・・・自分にしか出来ない事から排除されている・・・他ならぬ彼の手によって。
ふとドアの方を見遣る。
怒鳴った御堂を止めるでもなく、沈黙のまま見送った彼は何を思っているのか・・・。
リビングで仕事の続きをしているに違いない。
だが、どこかで、自分の事で反省して悩んでいてくれないだろうかと望んでいる。
「私も大概、どうしようもない・・・。」
御堂は自嘲した。
今夜はもう寝てしまおう。
明日になれば何か変わるかもしれない。
あれでいて彼にも素直な所はある。
そう思って掛け布に潜ったとき。
「?」
手に何か硬い物が当った。
訝しく思って取り出してみると、それは・・・。
「柘榴・・・?」
ぱっくりと割れた果皮から毒々しいまでに艶(つや)やかな紅の実が誘う様に見え隠れしていた。
常識的に考えて・・・、いや、考えなくとも、ベッドに柘榴が転がっている等ありえない。
置いた覚えもなければ、そもそもそんな物がこの家に有った事すらないのだから。
そう思うのに・・・御堂は何か糸に操られるかのように、その柘榴へと歯を立てていた。
ぐらり
世界が揺れた―――…
****
閉め切られた御堂の部屋からドサッ、ガタン!と尋常でない物音が聞こえ、本多はソファから腰を上げた。
が、直ぐには部屋に駆け寄らずに躊躇する。
御堂が倒れたのではないかと咄嗟に思ったのだが、もしかしたら鬱憤を晴らそうと物に当たった音かもしれないとも思ったのだ。
何故そんな思考が生まれるのかといえば、先程言い争いをしたからだ。
原因は些細で、且つ、良くある物。
普段ならばそう気にも留めずそのまま有耶無耶になるのだが、同じ事が積み重なった結果、喧嘩の規模が大きくなった。
「なんであんなに素直じゃねぇかな・・・。」
それきり部屋から物音がしないので、何か物を投げただけだろうと結論付け溜息混じりにソファへ掛けなおす。
思えば下らない喧嘩だ。
というか、正真正銘の痴話喧嘩と言う奴なのだろう。
なにせ諍いの原因は御堂が本多の求めを断ったことなのだから。
「だって何週間ぶりだよ、こうやって過ごせるの。」
本多はぼやいた。
そう、現在御堂は新製品の開発で、本多は他の製品の営業でそれぞれ多忙を極めておりここ最近全くと言って良いほど二人の時間が取れていなかった。
そんな中で漸く時間が出来た今日。
本多が御堂を求めたのは自然の流れだったはずだ。
はず、だったのだが・・・その通りに事が運ばなかったために今こうして二人は喧嘩別れ状態になっている訳で。
つまり、久方ぶりの体温に込み上げた愛しさをぶつけようとした本多を御堂が頑なに拒んだのだ。
別に性欲処理をしたい訳じゃない。
そうではなくて、肌を合わせる事で、誰よりも大切な人を、何よりも大切な感情を、一番近くで感じたいのだ。
なのに。
「離れろ、したくない。」
本多の一番大切な人は素っ気無くそう言い放った。
いつもならば引き下がるのだが、今日はやけにその言葉が響いた。
御堂に素直な感情表現を求めるべくも無いとわかっているし、時折素直じゃないその言葉の裏に嬉しい本音が隠れていたりするのも感じられる。
そう思うのに、今日だけはそう簡単に処理できなかった。
御堂はその言葉通り自分の事をそう大切に思っていないのではないか、もしかして心が離れていっているのか。
不安と苛立ちが湧き上がり、抑えることが出来なかった。
「はぁ・・・」
ソファに深く凭れ掛かって、また溜息が零れる。
先程の物音以来静まり返っている御堂の寝室をチラと見て、そっと立ち上がった。
ドアに耳を当ててみても何の音も聞こえない。
「寝ちまったのかな・・・。」
寝顔を見れば、ささくれ立った気持ちも治まるだろうか。
本多は音を立てないようにドアを開けた。
本多と付き合い出してから暫くして知らぬ間に御堂が買い換えたキングサイズのベッドの真ん中に、見慣れた形の山が出来ている。
近づくと、規則的な寝息を静かに漏らしつつ安らかな顔で彼が寝入っていた。
「ちぇ・・・人が悩んでるってのに。」
時に苛烈にも感じる眼光を湛える紫苑の瞳が見えないと、御堂の整った顔は白磁で彫り上げられた人形にさえ見える。
無防備に薄く開かれた唇が何となく愛らしい。
そこで本多に悪戯心が芽生えた。
常に彼に翻弄されているのだ・・・偶にはこちらが振り回しても良いだろう、と。
本多はスルリとネクタイを解き、起こさないよう気をつけながら御堂に目隠しを施した。
****
「こ、こは・・・?」
本多と下らない言い争いをして部屋に入り、だが意地を張りすぎたと反省しリビングに出ようとして・・・急に眩暈に襲われた。
ぐるぐる回る視界に慌てて、本多を呼ぼうとして派手に転んだのは覚えていて・・・気づいたら、こうして知らぬ部屋にいた。
呆然と床に座り込んだ体勢で、御堂はとりあえず辺りを見回した。
落ち着いたインテリアのベッドルームだ。
断じて己の部屋ではない・・・が、室内のセンスに何故か親近感を感じる。
ベッドのコンフォーターは、つい先程まで誰かが寝ていたような形に乱れている。
まだ身体に残る違和感と、精神的な動揺でよろめきながら立ち上がった。
外は夜。
時計の針が指し示す日付も時間も、自分が知る物と違い無い。
なのに窓から見える夜景も全く違う。
「一体・・・。」
何が起こったのか。
「そうだ・・・本多は・・・?」
思いつきにハッとする。
突然知らぬ場所にいる自分・・・。
ならば、ドアの向こうにいた筈の本多は?
慌てて、ドアを開け放った。
「本多!?」
ドアの向こうは知らぬ廊下だった。
一瞬怯んで、数個あるドアの内、光が煌々と漏れている硝子張りのドアへ駆け寄る。
どうして自分がこんな所にいるのか分からない。
記憶がなくなる程酒を飲んで友人の家にでも来たか、それとも、倒れた拍子に記憶喪失になって長い間の記憶が無いのか・・・
否、先程見た日付と時間がそのどちらも否定しているが・・・他に何が考えられるというのか。
おそらくここに本多はいないだろうが、兎に角ここを出て家に帰らなければ。
そう思って勢い良くドアを開けた所で、ドアのすぐ向こう側にいた人物とぶつかった。
「っ、御堂さん、どうしたんですか?」
「!?」
心配気に自分を覗き込んでくる男に、御堂は目を剥いて固まった。
(何故この男がここにいる?まさかこの男の家?いや馬鹿な、キクチのヒラがこんなマンションに住める筈はない。だがだとしたら何だ?しかも何故寄りによってこの男なんだ!?)
混乱に次ぐ混乱。
御堂は声も出せない。
ぶつかった男・・・佐伯は、何故か零れ落ちそうな程に目を見開いて自分を凝視してくる〈御堂〉を覗き込んだ。
「大丈夫ですか?凄い音がしたから心配したんです。・・・その、すみません、俺も我を張りすぎました・・・貴方の言うとおり、勝手にやりすぎた。」
すみません、もう一度言って柔らかく御堂を抱き寄せた。
その瞬間。
「な、何をする!離せ!」
悲鳴に近い声と共に思い切り突き飛ばされた。
突き飛ばされるとは全く思っていなかった佐伯はよろめいて、何とかバランスを保ってから御堂を睨んだ。
「何するんですか。」
「それはこちらの台詞だ!何故君がここにいる!?そもそもここはどこだ!」
嫌悪に顔を顰めながら佐伯を睨みつけ言い放つ御堂とその内容に、彼は思い切り眉をひそめた。
「アンタ、何を言ってる?ふざけてるのか?」
だが聞きながらも、真剣に自分を睨みつつ距離を取ろうとする御堂の様子は悪ふざけをしている様子ではないと佐伯は見て取っていた。
それに、目の前にいる彼に・・・何か違和感を感じる。
「スーツが違う・・・。」
漸く気づいた大きすぎる変化。
さっきまで御堂が着ていたスーツではない。
着替えたのか、と聞こうとして、見たことの無いものだと思い直す。
・・・最近新しいスーツを買った気配は無かった。
「・・・・。」
佐伯がジッと見つめると、御堂は一瞬たじろいでから睨み返してきた。
大きな物音。
不自然な御堂の態度。
何か違和感を感じる彼。
知らぬスーツ。
だがあちらも佐伯を認識している。
ひとつの可能性が頭を掠める。
「ここはどこだって聞きましたよね。ここは俺の家です。」
試す様に言うと御堂は昂然と顎を上げてフンと佐伯を鼻で笑った。
「嘘にしてもそれらしい事を言え。キクチの平社員がこんな部屋に住めるはずがない。」
佐伯は溜息をついた。
脳内で微笑んだのは柘榴を持った黒尽くめの男だ。
「・・・あいつめ。」
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クールで誇り高い孤高の美人キャラ♂を見ると苛めたくなるアブナイ脳みそ在中。
只今鬼畜眼鏡の御堂さんにベタ惚れ中。四六時中脳内で啼かせております(危)
最近本城氏も熱いです。でも薬を抜いてから小説に出演してもらってますw