「夜食」（小話）

コンビニでおにぎり見てたら小ネタが浮かんだので初めて『小話』カテゴリーを使ってみますｗｗ
御堂さんはコンビにおにぎりなんか食べたこと無いに違いない、というありがちなセレブネタですが・・・きっと本御ではないだろうという推測の元に・・・・・あったらごめんなさい。

ちなみにうちのケンジとタカノリは食事風景も萌えます。
ケンジがガッツガツ食べてタカノリは大人しく食べるんですが、ケンジは浮いてる餌がなくなってからも数十分水中で餌を探して食いまくってるんですよｗｗ
で、その頃にはもう小食のタカノリはお食事済んでるんですが、一心不乱に餌を探すケンジに、このときだけ、自分から近づいてってちょっかいだすんですYO！！！
「食事より私を構え！」的な！！
普段は絶対自分から近づかないくせに！なんというツンデレ！！
あーヤバイ萌える（病院いけ）

折りたたみに小話ですー

「あ・・・・」
本多は壁の時計に目をやって小さく呟いた。
シンプルな針時計が22時を差している。
本多は重要なプレゼンで御堂のパートナーを任され、明日に迫ったそれの準備に追われていた。
山と詰まれた書類とパソコンモニターを睨みながら作業に没頭しているうちにいつの間にか時間が過ぎていたようだ。
チラと横を見やると、この執務室の主である御堂がじっとモニターを見ながらタイピングを続けている。
普段なら前日にこれほど準備が必要なスケジュールにはならないのだが、今回は製品モニターの結果が委託先の手違いで何と今日の夕方に届いたのだ。
そのデータを明日のプレゼン資料に反映する作業に追われてこんな時間になっているのだ。
まだまだ終わりそうに無い。
本多は一息ついてたちあがった。
「御堂さん、腹へりません？なんか買ってきますよ俺」
その声に御堂が視線を一瞬時計へ投げる。
そしてそのままモニターに戻すと「任せる」と反してきた。
こういうときの御堂の集中力は尋常ではない。
本多は「了解」とだけ返すと部屋を出た。


15分後。
「ほい」
とデスクの上に置かれたものを見て御堂は固まった。
ペットボトルのお茶とビニールに包まれた三角形のおにぎりが二つと、正方形のプラスチック容器。
本多は「コンビニにももうこんなんしか残ってなくてさ。」と言いながら自分の分をソファの前のテーブルに置き、さっさと食べ始める。
御堂は置かれたそれらを手にとって見た。
シーチキンマヨネーズ、鮭イクラ（新潟こしひかり使用）、ごぼうサラダ。
シーチキンマヨネーズと書かれたおにぎりを包むビニールに１，２，３と数字が印刷されている。
（・・・・・）
御堂はチラと本多を見て、彼がやっている通りにあけた。
海苔がもげたが、何とか開いた。
（なるほど、これで乾いた海苔につつまれたおにぎりを売れるわけか）
妙なところに感心しながら一口食べてみる。
（・・・・・・・）
「・・・・」
神妙な顔で一個100円のおにぎりを租借する御堂を本多はさりげなく観察していた。
（ありゃあマジで初めてだな、コンビニおにぎり。）
大学時代からワインバーに行っていたようなセレブだ、きっとコンビニの弁当など食べたことが無いに違いないと思って買うのを迷ったが、本当にそうだったらしい。
たぶんシーチキンを食べたのも初めてなのではなかろうか。
と、御堂がお茶を口に含んだ。
それからおにぎり→お茶→おにぎり→お茶の順で食べていく。
（あー・・・口に合わなかったな）
漸く全部食べ終わって、つぎに鮭いくらに手を伸ばす。
和紙のようなビニールに包まれたそれは本多的には少し奮発しないと買わないちょっと高めのおにぎりで。
（さあ、どうかな、あれは・・・）
「・・・・」
一口含んで御堂は眉間に皺が寄るのを自覚した。
（なんだこれは、イクラ？嘘をつけ、こんなまずいイクラがあるものか）
おにぎりを見れば鮭とイクラ（のふりをした何か）の周りにイクラ色の液体がじわーと滲んでいる。
（・・・・・）
再びお茶で流し込みながらどんどん眉間に皺がよる。
（この液体はなんだ？！変な臭いもする・・・こんなものを売っているのかコンビには！？）
口をごまかせるだろうかとごぼうサラダと名のついたプラ容器も開けて食べてみる。
が。
「・・・・！」
（・・・・これは、ひどい）
ごぼうと言っているがごぼうの香りなど皆無で、とりあえず食感でごぼうと分かる程度だし、8品目と謳っていて確かににんじんやら豆やらきゅうりやらの姿は確認できるのだが、味はすべて、それらを和えているマヨネーズらしき何かに持っていかれている。
（本多はこんなものをいつも食べているのか・・・？）
人間の食べるものとは思えない味に打ちのめされた御堂はコンビニを日常的に利用している本多が哀れでしかたなくなった。
（うわー・・・・）
本多は思わず苦笑した。
二個目のおにぎりを食べ始めたときから表情が険しかったが、おにぎりとサラダをお茶で流し込む御堂は既に涙目だ。
相当まずいらしい。
そりゃあ、自分とてコンビニ弁当が美味しいと思って食べているわけではないが、そこまでまずいと思った事も無い。
御堂の舌が肥えすぎているんだろう。
（こりゃあコンビニはもうトラウマになったな・・・）
と、御堂が顔を上げて本多をみた。
「本多」
気のせいか、すごく可愛そうなものを見る目で見られている気がする。
「な、なんスか」
「すまない」
「はい！？」
突然の謝罪に素っ頓狂な声を上げる本多に御堂は心の中でつづけた。
（今度から贈り物は着るものではなくて食べるものにしよう・・・）

庶民たる恋人の食事情に真摯な思いをはせた、御堂孝典32歳の秋である。




ロー○ンの鮭イクラおにぎりと８品目のごぼうサラダは実際まずいと思う・・・ということで御堂さんに代弁してもらったｗ